2010.09.01

ボタンについて、考える。

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最近のお仕事を通じて、ふと気になった事があります。

「ボタンと、そのボタンが担う機能の対応関係」です。

ボタンと機能の対応関係パターン

僕の浅はかな経験と知識からだと、下の3つのパターンがあると思います。

ボタン:機能の対応が、

  • 1:1 
  • 1:多 
  • 多:1

ひとつずつ、具体例を上げてみます。

1つのボタンが1つの機能しか持たない場合

ボタン:機能 = 1 : 1 の場合ですね。

世の中の「ボタン」と呼ばれるものの大半がコレに当たると思います。
メールソフトで考えると、「送信ボタン」というのは、「メールを送信する」という機能のみを提供する、と行った具合です。

この対応関係は、そのボタンのアイコン(一般的にはビジュアルサインとでも言うんでしょうかね)と機能がよほどかけ離れていなければ、
ユーザーに取っては解りやすい、というか、間違用のないユーザーインターフェイスになるかと思います。

1つのボタンが、状況によって機能を切り替える場合

ボタン:機能 = 1 : 多 の場合。

これも、かなり存在するパターンだと思います。

皆さんがいま、このブログを見ているブラウザ。 そのブラウザのスクロールバーの上向きボタンは、
1回クリックすれば、一回分ページが上方に移動します。

しかし、ボタンを押し下げっぱなしにすると、押し下げている間、上方にスクロールし続けますよね。

これは、1つのボタンで、2つの機能を提供していると言えるかと思います。

上記の例は、「ボタンの押し方」というパラメーターで、機能を切り替えているわけですが、
それ以外にも、「現在の状況」で切り替えるパターンもあります。

iPod等の音楽プレイヤーの「再生/一時停止」ボタンなんかがそれにあたりますね。

再生中に、「再生/一時停止」ボタンを1回押すと、一時停止します。
一時低中に「再生/一時停止」ボタンを1回押すと、再生を再開します。

同じ操作でも、今がどういう状況かによって機能が切り替わる例として身近なものなのではないでしょうか。

この「1:多」の場合、ユーザーに対して混乱を与えないようにするためにはいくつかの注意点があるかと思います。

1つのボタンが提供機能する機能を2つ以上にする場合の注意点

「再生/一時停止」ボタンが一般的であるのは、提供する機能が2つで、その各々が対になるペア的な機能である事が要因であると、個人的には考えています。

僕は日頃、「人間は、2つの事なら同時に理解できるような作りになっている」と感じてます。

高校の数学でも、2次元の事は一気に計算する方法を教わりましたけど、3次元に関しては一旦、1つの次元を無視した上で計算し、その後に無視した1つを復帰させて考えるという方法だったと思います。(ex : 二次関数と三次関数の解放手順とか・・・)

なので、2つまでは「できて当然」と思っていても、バチは当たらないのかな、と。

あとは、提供する機能が「真反対の機能」であれば、もう間違いなく理解してもらえるんじゃないでしょうか。
例えば、「再生/一時停止」ボタンではなく、「再生/次のチャプターへ」ボタンだったら、なんか直感に反して気持ち悪いボタンになってしまう気がします。

(あ、「なんか気持ち悪いボタン」っていうシリーズで作ってみるとオモロイかもしれないですね・・・)

複数のボタンが、同じ機能を提供する場合

ボタン:機能 = 多:1 の場合ですね。

これは、具体例を探すのが結構大変なので、あまり一般的ではないようです。

僕が見つけたのは、

  • 携帯の「十字キー」の代わりに、数字ボタンの2,4,6,8 で代替する
  • キーボードのShift, Control Alt ボタン(Macは、、、殆ど使わないのでわかりません)

くらいですかね。

この場合に共通して言えるのは、
なんか、使いにくかったらもう一方のボタンを使ってねという作り手の心遣いだという気がします。

携帯の十字キーって、端末のデザインによってはスゴイ押しづらい場合があります。シューティングゲーとかをやってる日にゃあ、押しづらかったらクレームものでしょう。

そういう、物理的にそのボタンを押すのが困難な状況が考えられる場合に、押しやすい方で操作できるようにする。
これが、この「多:1」というパターンの使い時なわけですね。

それ以外に、この「多:1」を使う必要のある状況は・・・ちょっと僕は思いつきません。

むしろ、この「多:1」パターンは、やたらと使いまくるとただの解りにくいインターフェイスになってしまう危険性があると思います。

どこを押せばページが遷移するのか、不必要に選択肢が多い場合、使っている側で「ボタン:機能」の対応を理解していくのが困難になると予想しています。

例えば、
再生ボタンと停止ボタンと取り出しボタンが、各2個ずつ、見た目もそれぞれバラバラで、いろんな箇所に配置されてるDVDプレイヤー。

どこを押したらどうなるのかを理解するのがまず大変そうです・・・。

で、何が言いたいかというと

Webコンテンツのユーザーインターフェイスの使いやすさを考える時には、身近なもののインターフェイスがどういう思想で設計されているのか、
もしくは、定番のUIデザインの根底にある狙いや、なぜ定番となっているのかまでを考えてみないとイケナイなー、という事です。

実際の案件で、個人的な意見として「これは使いにくいでしょう・・・」というデザインのモノがあったのですが、
それがなぜ、使い辛いのかを説明することができず、議論にすら挙げられなかった事があります。

そういう時に、なぜ自分が使い辛いと感じたのかの理由が把握出来ていれば、解決策も提案できますし、
そうなれば皆で再度検討しなおす事もできますよね。

こういう、コミュニケーション能力を上げるための視点って、大事だなと痛感しました。

戸田@ドアズ社長ブログ

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